twitter

@89089314 をお気軽にフォロー下さい♪過去ログはこちら

最近読んでみた

時々読み返したい

今までに書いた本

【お詫び】VALUでの活動終了について

大変申し訳ありません。

 

以前にこのブログでも「革命的SNSだ!」と持て囃したんですが

先見の明がありませんでした。

 

VALUというのは「疑似株式」みたいなものとしての「VA」を発行して

応援したい人に「ビットコイン」で買ってもらう、

そしてVAを買った人と繋がれる、

さらにVAを自由に売買してもらうことができる、

そのようなことを通して相互に価値を向上させることができるサービスでした。

 

私もそれを上手く利用して、

NPO法人AHEADMAPの活動資金を集められたら良いなと考えて

このサービスを利用し、

実際に何人もの方々にVAを買っていただきました。

 

とはいえ、忙しかったことを理由にしてはいけませんが、

途中から更新が止まってしまっておりました。

(TwitterやFacebookで繋がってる方は私のアクティビティをご存知とは思いますが)

まずこのことを一番にお詫びしなければなりません。

VAを買っていただいた方に対するサービスについてはいくつか試しましたが、

イマイチ相互にモチベーションを維持できるものが見つからなかったのもあります。

システム変更についていけなくなったことも遠因としてあります。

ビットコイン相場の変動が激しすぎて振り回された感もあります。

しかしながら、全ては私の能力不足であり、

大変恥ずかしく思っているところです。

 

さて、VAの売出しを通して得たビットコイン(0.109024BTC)ですが、

買ってくれた人にそのままの値段で買い戻すという方法もありますが、

必ずしも買ってくれた本人に返せる方法ではないと考え、

結局期限ギリギリの本日まで悩んだ結果、

本来の「疑似株式」という性質の観点から、

返還はしないことにいたしました。

ただし、この記事を書いている時点のレート918,830円を適用して

100,174円を寄付金としてNPO法人AHEADMAPの会計に組み入れます。

確かこれらのVAを買っていただいた頃のBTCのレートは

30〜40万円台だったはずなので、買っていただいた金額の倍以上にはなっています。

また、このお金には当然私に対して所得税や住民税がかかりますが、

それらは全て私が負担します。

もちろん手数料等諸経費も負担します。

以上の対応で、何卒ご容赦いただきたく存じます。

 

今回のことは深く反省しておりますが、

引き続き活動資金集めのために奔走する覚悟であります。

NPO法人AHEADMAPの理念に共感していただけましたら、

今後とも変わらないご支援をお願いいたします。

 

NPO法人AHEADMAP

共同代表(財務責任者)桑原秀徳

http://aheadmap.or.jp

 

JUGEMテーマ:お知らせ


【書評】プライマリ・ケア医も精神科医も精神症状に使える!漢方処方レシピ集

漢方薬はかなりあちこちで広く使われているものですが、

その多くが実は間違った(というか、適当な?)使い方になっている薬のような気がしています。

例えば、添付文書に書かれた「効能/効果」を見ての病名に対する処方は

西洋医学的なロジックでの処方であり、漢方医学のロジックとは異なるというのはお分かりでしょう。

漢方医学は「証」というロジックで治療を決めていくのであり、

病名を診断して治療を決めていくのが西洋医学的なアプローチであるなら

証を診立てて用いる生薬の組み合わせを決めていくのが漢方薬の正しい使い方だというのは

どこかで聞きかじった人は医師も薬剤師もそれなりにたくさんいるとは思います。

 

それなのに、

そのような「証の診立て」がきちんと行われているとは思えない漢方薬の使い方がこれだけはびこっているのは、

漢方薬は効果もマイルドなら副作用もマイルドだと思われているからではないでしょうか。

だって、効果がシャープで副作用も激烈なものが出やすいのなら、

漢方薬を処方する医師だって、

それを調剤する薬剤師だって、

もっと真剣に漢方薬の使い方を勉強すると思うんですけど、

「効果も副作用もヌルいんだったらまあテキトーでいいか〜」

みたいな雰囲気を感じるのは私だけでしょうか???

 

そういう雰囲気から一歩抜け出すために

漢方薬の使い方を学ぶのに良さそうなのが本書であります。

 

著者の宮内倫也先生は何年か前にも

「精神科臨床はじめの一歩」という書籍を出されておりまして、

こちらは今でもバイブル的な感じで勉強させていただいております。

私は精神科医じゃなくて薬剤師ですけども、

薬物療法の解説はとても勉強になりましたし、

薬剤師という立場でも身に付けておきたい精神科臨床の考え方が

ブログでも読んでるかのようなライトな文章ながら

結構みっちりと色濃くまとめられているのが印象的でした。

こんなのどうやって普段探して読んでるんだ?

というような基礎研究の論文までたくさん引用されてて

原稿書いたりスライド作ったりするのにもすごい助かっちゃいました!(^^;)

 

で、その著書の中でちょくちょく漢方薬での対応が登場してたので

あーこの先生もついにアッチの世界に行っちゃったのかなぁ……

なんて思いそうにもなりましたが、

そのあたりはよく読めばきちんと限界をわきまえて

向精神薬と漢方薬を上手く使い分けることを述べてらっしゃる。

そしてそのような考え方が上手くまとめられているのが、

南山堂の『治療』2018年6月号の特集

「抗うつ薬・抗不安薬の前にこの方剤!―精神症状×漢方」

ではないかなと思います。

実はこれ、

ワタクシも「薬剤師の視点から」ということで一部執筆しているのですが、

その記事に対して宮内先生より直々にコメントも入ったりしまして

漢方薬に対する不勉強を露呈することになってしまったのですが、

(宮内先生が編集されると知ってれば断るかもっと勉強して書きたかったw)

今回紹介する本書

プライマリ・ケア医も精神科医も 精神症状に使える!漢方処方レシピ集

は、その特集記事をしっかりブラッシュアップし、

具体的な症例をたくさん盛り込んで使い方をイメージしやすくしたもの、

という風に捉えたら良いんじゃないかと思われます。

 

本書の特徴として、漢方の入門という位置付けで

「抑うつ」「不安」「不眠」「認知症のBPSD(周辺症状)」

これらにターゲットを絞っているのが画期的だと思います。

 

漢方薬の適応といえば、

風邪だとか消化器症状だとか身体面に目が向きがちですが、

実は微妙にどうにかなりそうで、

でもどうにもならない精神症状……というのは

精神科領域だけでなくプライマリ・ケアの現場でもありがちで、

そういうところにこそ漢方薬がフィットする、

そしてそれは基本を押さえておけば何とかなる、

というのが本書のメッセージでしょうか。

 

そして、漢方で言われる気血水や陰陽や五行の小難しい話を

「エネルギー」と「うるおい」に集約し、

「何がどのくらい不足し何がどのくらい停滞しているか」

「停滞があるならば、そこを攻めても大丈夫か」

「寒や熱は、どちら寄りか」

ここらに着目して思考できるようにしているのが素晴らしいと思うところです。

 

私もかつて漢方の勉強会に通ってこの辺を学んだ(つもりな)のですが、

ここまで割り切ってる本は初めて読んだ気がします。

 

だいたい漢方にこだわる先生って、独自のシステムに深入りしてるんですよね……

それはまあそれで患者さんが良くなるなら良いんですけど、

(そこがなかなかついていけないところかなぁ。。。)

なんて思ってたりするのですが、

その点では本書はそのようなどこかの流派的な知識がほとんどなくても、

いや、むしろそのような知識が無いほうが、

本書の内容から比較的イメージをつかみやすいように思います。

「証」を「レスポンダー」と言い換えているのもいいですね。

 

例えば、加味逍遥散では

「便秘気味で虚勢を張る、のぼせやイライラ、月経関連の症状」

とまとめておられます。

また、

「エネルギー停滞はまさに”おっくう”、そして”イライラ”の一部として表現されます。(中略)、エネルギーのスムーズな流れが阻害されると分子運動が激しくなるため、”熱”が生じやすくなります。また、その阻害から乱流そして風が生まれ、気分も落ち着かなくなります。よって、エネルギーの停滞では、気分が塞がったり、その行き場もなくイライラしたりするのです。」

という解説は、「漢方の考え方とはそんなものだよ」という前提に立てば、

比較的理解しやすいのではないでしょうか。

(まあそこんとこ素直じゃない人は難しいかもしれませんが)

 

ということで、

本書はプライマリ・ケア医や精神科医向けに書かれた本ではありますが、

そのようにイチから漢方薬の基本が学べて

しかも対応に苦慮しやすい精神症状に対する使い方が分かるので

保険薬局の薬剤師にも向いてるんじゃないでしょうか。

漢方薬って市販もされてますからね、置いてる薬局もあるかもしれません。

「もうひと押し」って症状に対して適切な漢方薬を

お試しで勧めてみることができるプライマリ・ケア薬剤師って

カッコいいなと思いませんか?

上手く効けばそのまま買ってもらうか、かかりつけ医に処方を依頼するか、

効かないようなら「証」を見直すか、医療機関受診勧奨するか、

色々考えられると思いますが、

その時にそばにあると心強い本かなと思いました。

 

JUGEMテーマ:精神科


タバコを吸うことやめること(その2)

今朝は

#立てよ薬剤師
#世界禁煙デー
#WorldNoTobaccoDay 
#禁煙週間

というタグで書いた記事をアップしてみたわけですが、

時間の都合で書ききれなかったことについて補足して述べておこうと思います。

ある意味、こっちが本題なのかもしれませんが、

まあ、賛否両論ある話なので、そっとアップしておきます。

最近カリカリしたコメントいただくのも

嬉しい半面めんどくさいのでw

 

さて、前回では

禁煙して得られる健康とは言うけれど、

それは人によってニュアンスが変わってくる、

なので薬剤師としては禁煙を進めるにしても

その人の文脈を大事にしましょう、

ということを簡単に話したんですが、

もう一歩踏み込んで考えるとしたら、

禁煙できない人の心理や行動様式は

薬物依存症の心理や行動様式そのままだ、

ということを考えてみたいと思います。

 

今喫煙している人、「それは違う」と思いましたか?

そのように否認することがまず依存症の病理の1つです。

「他人に迷惑をかけているつもりはない」と思いましたか?

結果的には色々あれ、薬物依存の人だって基本的にはそう思ってます。

 

これは別に禁煙できない人を「タバコ依存症」だとして

精神科医療で治療すべき!と言っているわけではないんです。

各種薬物依存の人だって、「依存症」と病名が付けば医療の対象にはなりますが、

治療を受けなくても何とか社会生活に適応している人だっているわけです。

そりゃまあ違法薬物はもちろんダメですけど、

薬物依存の問題は違法か合法かが問題ではないのです。

 

そもそも、なんで薬物依存の人は薬物に手を出したんでしょうね?

これは男性なら友人や先輩から誘われて、

女性なら交際相手から、というのが多いという報告があります。

その薬物をやりたくてやりたくて売人を探してまで買ったという人は実は少数派で、

その場の空気に抗いきれずに手を出した人が多いということです。

タバコを吸い始めたのも、そういう人が多いんじゃないですか?

(ワタクシも初めて吸ったのは友人とでした)

そしてちょっとした背徳感に浸るというのがありませんでしたか?

これは別におかしいことなのではなく、

人間は日常に疲れると非日常を求める生き物なのですから、

そういうところに非日常を求めるというのはアリだと思います。

そして誰でも自分の価値には大なり小なり不安を抱えているもので、

ダメな自分を嫌悪するという作業も心を守るのに必要なことがあります。

なぜなら、自己嫌悪しているということは、自分を嫌悪する自分がいるわけで、

その自分こそ理想の自分であって、自己嫌悪によって理想の自分が成り立つからです。

(まあ幻想の自分でしかないんですけどそれを認めるのは心が痛すぎる)

 

ということは、

タバコの害を強調して、喫煙することを倫理の問題のようにしてしまうと

タバコをやめられない人たちはどう思うでしょうか?

 

「どうせ自分は……」

 

こう思いはしないでしょうか。

これもまた依存症と同じ構造であります。

薬物依存の人は、実は薬物を乱用しながら罪悪感や無価値感を感じています。

決して快楽に溺れているばかりではありません。

むしろ、快楽というのは短期間に繰り返せば減弱していくものです。

それでも薬物の乱用を止められないというのは、

快楽を求めてやっているわけではなくて、

不安や葛藤から一時的に逃れるためにやっているほうが多いです。

もっと軽く言うなら、気分転換のためです。

タバコは、どうですか?

タバコ吸って気分が良くなってラリってる人はいないと思います。

それでもやめられないのは、

禁断症状が云々というより、

タバコを介して気持ちのスイッチをオン・オフしているからではないですか?

 

ワタクシは喫煙者ではありませんが、経験はあるので、

起床時や、飯食った後、クソした後、賢者タイムでのタバコは美味いのは知ってます。

でも、それって「美味い」「気持ちいい」「心地よい」というより

心の何かのスイッチになっているという感じではないでしょうか。

 

先程、人間は日常に疲れると非日常を求めると書きました。

それは人間のマクロな見方として、ミクロで見ると、

人間は日々心のスイッチの切替を何度も必要としているということです。

 

そういったことに思いを馳せた時、

薬物依存の人と、喫煙者のあいだには、

使っているものが薬物かタバコかの違いぐらいしかなくて、

その心理や行動様式は同じものだというのが分かるのではないでしょうか?

 

改めて言います。

決して禁煙できない人が皆病気だというわけではありません。

一方で薬物依存の人が皆だらしない甘ったれのクズというわけではありません。

案外、みんな普通なのです。

だから、タバコを止めたくても止められない人こそ

薬物依存の人の最大の理解者になりえる可能性があります。

そういえば薬物依存治療の第一人者の松本俊彦先生もかなりのヘビースモーカーなんですよね。

そういうポジションでいるから、助けを求める患者さんに寄り添えるのかもしれません。

 

今日は世界禁煙デーだそうです。

 

タバコを止められる人は当然止めたほうがいいと思います。

でも、止められない人は、なぜ止められないのかに思いを馳せ、

薬物依存(アルコール依存も含みますが)の人の気持ちも想像してみてください。

そして依存症の方の良き理解者になってあげてください。

そして、禁煙を推進しようとする人は、

タバコを咥えることによる効用というものにもっと寄り添ってみてください。

どんな理想を掲げても、やめられない人がいるという現実を直視してください。

やめられない人への対応として好ましいのは分断ではなく包摂のはずです。

 

ワタクシは普段、依存症の方々と関わる仕事をしていますので

ちょっとバイアスかかった意見かもしれませんが、

そもそも人間は何かに依存しなければ生きていけない生き物です。

依存先が社会的に好ましいものになるよう

変えていける方法論を学び合いたいと思っています。

それが「禁煙」をテーマに改めてワタクシが考えたことであります。

 

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


タバコを吸うことやめること

さて、

今日は「世界禁煙デー」らしいんですが、それに合わせて

#立てよ薬剤師

の同時ブログアップ企画をやろうという話をいただきましたので

それに便乗して久しぶりにブログを書いてみました。

 

最近頼まれた原稿に追われて自分で好きなことを徒然に書いてないので

やっぱり思ったままにダラダラ書くのは楽しいなぁと思うところなのですが、

せっかく世界禁煙デーというテーマがありますから、

今回はタバコに関することを書いてみたいと思います。

 

ワタクシはタバコが嫌いです。

もうね、臭いがダメなんですよ。

直接煙をかがされるのでも勘弁して欲しいところですが、

よそでタバコを吸ってきた後もね、結構臭ってるんですよ。

そういうのも嫌だなぁと思いますし、

やはりそういう人の体臭もなんだかガッカリするんですよ。

 

とはいえ、ワタクシもタバコを吸ってみたこともありますし、

てゆーか飲み会とかで誰か他の人が吸ってたら

1本もらって一緒に吸うことも実は結構ありますし、

ホントに嫌いなのか?と言われてしまうと

ちょっと自分でもよく分からなくなってくる感じです。

まあ酔っ払ってると臭いが気にならなくなるからなのかもしれませんね。

翌日二日酔い&タバコ臭でゲロゲロな朝を迎えてしまうんですが。。。

 

さて、そんなタバコですが、

やはり健康に対する影響が心配ではあります。

そうは言っても、タバコ吸ってようと、今更やめようと、

健康に関して言えばあまり変わらないんじゃないの?

という気も一方ではしてきますので、

まあここはちょっとだけ論文探して読んでみましょう。

 

2015年の論文ですが、

禁煙によってどれぐらい寿命が伸びるかを試算した研究が報告されてます。

全文読めますので図だけでも見てみてくださいな。

Mons U, et al.

Impact of smoking and smoking cessation on cardiovascular events and mortality among older adults: meta-analysis of individual participant data from prospective cohort studies of the CHANCES consortium.

BMJ. 2015 Apr 20;350:h1551.

PubMed PMID: 25896935; PubMed Central PMCID: PMC4413837.

 

この論文によると、

まず喫煙者と今まで喫煙したことがない人の比較において、

喫煙者はそのタバコの数に応じて心血管疾患による死亡リスクが上昇し、

1日20本以上の喫煙者ではおよそ7年寿命が短くなることが示唆されています。

 

次に、禁煙に成功した人と喫煙を続けている人の比較をすると、

5年未満では死亡リスクに差はないのですが、

5年を過ぎると統計学的にも有意に死亡リスクが減り始め、

20年以上禁煙するとおよそ4年寿命が伸びるという結果になっています。

 

ちなみに禁煙に成功した人と喫煙したことがない人の比較では、

一旦縮んだ寿命が禁煙期間が長くなるにつれて元に戻る様子が分かります。

 

これらの結果から言えることは、

一度喫煙の習慣ができてしまうと、20年以上禁煙しないと

上昇したリスクは元に戻らないということであります。

例えば60歳過ぎてから禁煙しても、

その効果が明確に現れるのは少なくとも5年後、

非喫煙者と同等になるには80歳を過ぎた頃ということになります。

 

う〜ん、それぐらいならまだギリギリ意義がある範囲なのかもしれない。

でも、もう少し年取ってる人だとどうだろう?

逆に、若い人だったら少々大丈夫ってこと?

先程挙げた論文の結果自体は、タバコ吸わないほうが長生きできて、

やめればその期間に応じて寿命が伸びるかもしれないということです。

だけど、実際にタバコ吸ってる人に当てはめようとした時、

その人によって少しニュアンスが違ってくる結果になるのが分かるでしょうか?

 

これが、エビデンスだけで意思決定できない理由です。

エビデンスは万能ではない所以です。

論文のような妥当性の高いエビデンスは

それなりに方向性は指し示してくれるものの

答えを与えてくれるわけではありません。

 

答えはその人のなかにあります。

 

薬剤師として、誰かの健康に関わるのなら、

その人の中にある答えを

本人と一緒に見つけていきたいものだと思います。

 

とりあえず、ワタクシの中のタバコは

悪いことや危ないことをしたくなった時の

ささやかなアイテムとしては残り続けるのでしょう。

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


【書評】アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

 

マンガなんですけど、面白かったんで書評書きますw

 

いやー、やっと出ましたね、薬剤師が主人公のマンガ。

これまで医療系のマンガとかドラマの主人公といえば

まあほぼ医師か看護師と相場は決まっているので

そういうの見るたびに

 

「やっぱ薬剤師の仕事にはドラマ性は無いか〜」

 

なんて嘆いていた時期もありました。

なぜドラマ性が無いかというと、

やっぱりそれって人間と人間との関わりの中から生まれることであって

モノ相手の仕事しかしてないとそりゃー同業者にはよく分かるドラマならありますが

(いわゆる「薬剤師あるある」みたいなネタ)

他の多くの人に共感してもらえるドラマは生まれにくいわけですよ。

例えば処方箋を受け取ったときに

 

「こ、これは……

 

「クラリスが!クラリスがベルソムラ飲んでる人に処方されています!」

 

とか、

 

「エビリファイを書き間違えてエビフリャイになっとるぞm9(^Д^)プギャー」

 

みたいなのは身内ネタとしてはウケるわけですが

知らん人にはそんなのが続いても面白くないわけです。

(まあ同業者でも連発で聞いてるのはつらいかな)

あとは薬ばっかり相手にしてる仕事してると

それはそれでトラブルを未然に防ぐ大事な仕事ではあるんですが、

そこだけだとドラマにならないんですよね。

なんたって「火事場がない」というか。

火事場ついでに例えるなら、それはもう消防士ならドラマになるけど

時々夜回りしたり防災講座したりとかしてる

地域の消防団がドラマになったりはしないのです。

 

でも薬剤師の仕事はだんだんと「モノ」に対するものから

「ヒト」に向いたものへ変わってきています。

そうすると、関わり合う人間との間にドラマは生まれます。

今回紹介する『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』が誕生したのも

そのような時代の変化を背景とした必然なのかもしれません。

 

さて、このストーリー、

26歳の元気いっぱいな若手の病院薬剤師が、

総合病院を舞台に医師、看護師、そして患者さんを相手に

ドタバタを繰り広げ、時にプレッシャーを感じ、泣き笑うわけですが、

確かに病院薬剤師である私から見てもなかなか描写が正確なのが驚きます。

 

いますいます、

自分の出した不正確な指示のために

それを実施できなくて困ってるのはこっちなのに

それを問い合わせることに露骨に不快感を示す医師。

「薬剤師」って分かると途端に横柄な態度になる患者。

でもまあこのマンガのキモはそういうのとのやりとりじゃないんです。

医療者として現場に関わっていると時々感じる

 

「これは何かおかしい」

 

という違和感を薬学的な推論からトラブルとして検出し

医師や看護師、そして患者さんに提案や情報提供をしていくところです。

そこには当然同じ医療者として、他の職種との間に摩擦が生まれます。

その摩擦が軋轢となるかチーム医療の熱になるか、どう転ぶか?

そこには間違いなくドラマがあります。

ネタバレになると面白くないから具体的には伏せますけど、

そういうエピソードが次々と登場しますからどうぞ一度手にとって読んでみてください。

私たち病院薬剤師のことが少し分かるかもしれません。

 

とはいえ、薬剤師のお仕事は現場によって多岐にわたっているので

保険薬局に勤務しているいわゆる薬局薬剤師だと

全く違ったドラマが描けるはずです。

それに私は精神科病院に勤務している薬剤師ですが、

精神科だとこれまた全く違ったドラマがあるんですよ。

精神科医は「この患者さん良くなったねぇ」って言ってるけど

薬剤師や看護師から見たら全然良くなってなくて

それをどうやってすり合わせて治療を進めていくかとか、

病識が無いどころか妄想のために全く薬を飲まない患者さんを

どうやってこっち側に呼び戻して一緒に治療していくかとか、

病状で別人に変身しちゃう患者さんとどう付き合うかとか、

飲んでる薬の説明書を作って渡したら食っちゃったとか、

一生懸命関わった患者さんが突然自殺しちゃったとか、

いきなり病室でプロポーズされたとか、

すごい凝ったファンレターが来たとか、とか、とか……

 

誰か取材して描いてくれませんかねぇ?(他力本願w)

 

ひとまず、お勧めです。

病院のロビーにも置いてもらおうかな?

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


【書評】科学的認知症診療 5 Lessons

久しぶりにブログ記事にして紹介したい書籍を読んだので書評を書いてみます。

 

出版社:シーニュ

タイトル:『科学的認知症診療 5 Lessons』

著者:小田陽彦

 

まず、著者の小田陽彦先生とは、以前に何度かEBMワークショップでご一緒して懇親会で飲みながら語り合ったことがあることを申し添えておきます。

金銭的なCOIはありませんが、「仲良しバイアス」が入り込む余地は否定できませんw

 

それにしても、その時に小田先生とした話の中には

きちんとしたエビデンスに基づかないで「指導医から教わったまま何となく」な精神科医の診療や、メーカーの情報を鵜呑みにしてそれで分かったつもりになって向精神薬を気軽に処方する一般科の医師について嘆いておられたのが印象的でした。

その後も「討論 厚生労働科学特別研究事業による「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の問題 : BPSDガイドラインの批判的検討」(精神神経学雑誌 118(6), 384-390, 2016)(残念ながらフリーでは抄録も読めませんが)といった論文を出して、特に認知症分野でエビデンスに基づかない治療薬の選択の仕方や、粉飾されたエビデンスや、エビデンスを拡大解釈した推奨文の根拠などを鋭く批判されていたので、

 

実のところ、普段どのように診療しておられるのだろうか?

 

というのはすごく気になっていたところでした。

だってなんだかんだ言って精神科ってエビデンスが示す通りにならないほうが普通というか、

そもそも「疾患」と「病態」が確たる線で繋がっているわけでもなく

表出している症状で分類している「症候群」的な診断基準なんだから

そもそもエビデンスに組み入れられる患者も極論すれば十人十色なわけです。

そんなんでどうやってエビデンスを適用するんですか?

私は昔EBMを勉強し始めた頃はすごく悩みましたよ。

 

で、そういう悩んでいた頃にこの本が登場していれば良かった……

そんな書籍がこの『科学的認知症診療 5 Lessons』ですが、

まずいきなり

 

「認知症という疾患は存在しない」

 

とまあ、まるで私が

「広島に広島焼きなんて食べ物は存在しません」( ー`дー´)キリッ

(お好み焼きならあります)

と言い切るかのごとく、

何となく世間にある「認知症という疾患」のイメージをぶった斬るところから始まります。

 

そして

1.認知症診断の原理原則

2.画像診断の意義と限界

3.抗認知症薬

4.精神症状への対応

5.医療者ができること

という5つのレッスンで構成されており、

まえがきの部分であえて「最新の臨床研究や系統的レビュー、すなわち科学的根拠を紹介することに徹しました」としているように、一切事例を紹介せずにガチガチにエビデンスでロジックを固めているところが

自説に都合良く何とでも受け取れる情報を排していて潔い感じがしています。

 

この書籍は一般臨床医向けに書かれていますが、

認知症の方に関わることがある薬剤師であれば役に立つ情報が多くあります。

 

まず認知症の診断は除外診断が基本になっていて、

当然薬剤性の認知機能障害も除外できるか鑑別しなければなりません。

薬剤師は診断をするわけではありませんが、

目の前の患者さんの「困った症状」に対して薬剤性を疑えるかどうか?

これは医師に対する情報提供としてやらなければならないことです。

認知症あるいはその周辺症状に似た状態を呈する薬剤についても

エビデンスとともにところどころで解説されていますので

ぜひ頭の片隅に置いておいて、いざという時に

ピンとくるようにしておきたいところです。

 

他にもBPSDに対する薬の使い方もいいですね。

確かに抗精神病薬は大規模なメタ解析でBPSDに効果があることが示されていますが、

一方で死亡リスクを増やすこともまたこれまでの数々のエビデンスから明らかです。

ではどういったケースでそれが適応になるのかというと

「自傷他害のおそれ」という実に明確な線引きを示しています。

つまり、有効というエビデンスに重きを置いて死亡リスクに目をつむるのではなく、

死亡リスク増加というエビデンスに重きを置いて一切使わないのでもなく、

患者さんや介護者の話をよく聞いてその「自傷他害のおそれ」がどれぐらいか、

そこで判断しましょうということです。

こういった考え方を知っておくと、

薬剤師からの処方提案にも(抗精神病薬の開始でも中止でも)活かせると思います。

 

いや、すごいです、小田先生。

きっと普段の診療でもこんな感じで

エビデンスベースドでありながら、しっかり患者さんや家族に寄り添った

まさにEBMの実践をされている精神科医の先生なんだなというのが伝わってきました。

 

それにしても、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンに関する

コクランのシステマティックレビューを根拠に示して

「コリンエステラーゼ阻害薬間の薬理作用の差は無視して結構です」

てところが個人的には一番ツボでしたねwww

ブチリルコリンエステラーゼ阻害やAPL作用がナンボのもんじゃい!

とか言うと立つ瀬のない薬剤師がいるかもしれませんが、

そういう薬剤師はぜひこれを機に、薬理が臨床効果の差異を決めているのでなく、臨床効果の差異を説明するのに薬理が必要なのだということに気付いていただければと思います。

そういう薬理学的な差異は臨床効果が一緒なら「トリビア」だと思っときましょう。

 

さらにもう一つ本書の興味深いところは、

抗認知症薬の承認の背景をPMDAの審査資料を丁寧に読み解いているところですね。

製薬企業がいかに苦心惨憺して承認にこぎつけたのかよく分かりますし、

同時にそれは、我々は簡単に騙されるということを示しています。

別に製薬企業に悪意があるというわけではなく、

効果があるように粉飾したエビデンスはちょっとみただけじゃ見抜けないということです。

こういったところ、

普段の臨床業務中はとてもじゃないですが読み込めませんが、

それでも批判的吟味の目は持っておくと自分で気付けるかもしれません。

そういった批判的吟味の目を磨くためには

各地で開催されているEBMワークショップに参加しましょう。

 

いきなりEBMワークショップは参加しにくいですか?

そしたら、薬剤師のジャーナルクラブ「JJCLIP」がありますよ!

次回は11/11(日)の21時からです。

しかもテーマはまさに「薬のせいで認知症になるって本当なのでしょうか?」です!

その時間に私のTwitterのライムラインに注目していただくか

こちらにアクセスしてもらえれば誰でも視聴できますので

お気軽にご参加いただければと思います。

 

ということで、宣伝までさせていただきました!

 

 

JUGEMテーマ:精神科


【立てよ薬剤師】薬剤師によるブログのススメ

我々は一人の英雄を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?

……否!始まりなのだ! 
ググってもカスみたいなサイトに比べ、我らのブログのPVは30分の1以下である。 
にもかかわらず今日まで戦い抜いてこられたのは何故か? 
諸君!我らが #立てよ薬剤師 の目的が正義だからだ。

これは諸君らが一番知っている。 
我々は仕事に追われ、ただそれをこなすだけの日々を過ごしていた。 
そして、心のダークサイドを膨れ上がらせながら世を恨むこともあったここまでの薬剤師人生、
がんじがらめな我々が自由を要求して何度踏みにじられたか。 
薬剤師の掲げる国民一人一人の健康と薬事衛生のための戦いを神が見捨てるはずはない。 


私の弟のようだった、諸君らが愛してくれたニンジャ先生は死んだ。 
何故だ!?

 

新しい時代を切り開く者たちが当初マイノリティであるのは、歴史の必然である。 
ならば、我らは襟を正し、この戦局を打開しなければならぬ。 
我々は過酷な臨床の現場で仕事をしながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築き上げてきた。 
かつて、ニンジャ先生は「薬剤師は現代に生きる忍者だ」と言った。 
しかしながら世間のモグラ共は、「薬剤師なんてイラネ」と増長し我々に抗戦する。
これに対抗できるのは、丁寧に反論できるエビデンスを示せる薬剤師だけだ! 
これは悲しみではなく希望であることを忘れてはならない!

それを、ニンジャ先生は、医師が涙を流す事例をもって我々に示してくれた! 
我々は今、この希望を結集し、世の中に行き渡らせて、初めて真の勝利を得ることができる。 
この勝利こそ、国民全てへの大きな幸福となる。 


薬剤師よ立て!

悲しみを希望に変えて、立てよ!薬剤師よ! 


我らここで立ち上がった者こそ選ばれた薬剤師であることを忘れないでほしいのだ。 
希望を持った我らこそ国民を救い得るのである!!

 

ジーク・ジオン!!!

 

ジーク・ジオン!!!!

 

ジーク・ジオン!!!!!

 

……さあみなさんも一緒に、

ジーク・ジオン!

 

……もういいですか。そうですか。

 

はい、というわけで(^^;)

今回は「立てよ薬剤師」を合言葉に一斉にブログをアップする企画ということで

それに便乗させていただいてワタクシも久しぶりにブログをアップしてみます。

一緒にアップされた方々のブログはこちらです。

とりあえずざっくり把握してるだけなので、

「うちのブログがリンクされてないぞ!」という人は

ツイッターあたりでご連絡くださればこっそり更新しておきます(^^;)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

立てよ薬剤師プロジェクト(第二弾)

 

ブログ名:薬剤師ときどき父

管理者:薬剤師ときどき父(やくちち)

タイトル:【立てよ薬剤師プロジェクト】日本薬剤師会学術大会@金沢はやっぱり最高だった!【ソクラテスがやってきた】

http://yakuzaishi.xn--tckwe

 

ブログ名:黒の薬剤師会

管理者:るるーしゅ

タイトル:

https://ph-lelouch.com/

 

ブログ名:窓際さんのお勉強な日々

管理者:zuratomo

タイトル:「立てよ薬剤師」第二弾:薬剤師が情報発信をする意味? 

http://zuratomo4.hatenablog.com/

 

ブログ名:よろず屋「雅(miyabi)」のみたて

管理者:山本雅洋

タイトル:#立てよ薬剤師 自分を体現するためにぼくは今日も文章を綴る〜正解のない世界で『応え』を創造せよ〜

https://pharmasahiro.com/

 

ブログ名:〜学びと気付きの場所作り〜

管理者:GORIABURA21

タイトル:『立てよ薬剤師プロジェクト』なぜ私はブログを書こうと思ったのか

http://manabi-to-kiduki-no-bashodukuri.hatenadiary.jp

 

ブログ名:けいしゅけのブログ薬局 情報館

管理者:けいしゅけ

タイトル:【立てよ薬剤師 第2弾】薬剤師としてブログやSNSで情報発信をする目的は?

https://keisyuke-blogyakkyoku.xyz/

 

ブログ名:新米管理薬剤師の独立への道

管理者:ふぁるめど

タイトル:【立てよ薬剤師 第2弾】情報は発信すればするほど、自分を大きく成長させる

https://farmed.xsrv.jp

 

ブログ名:Re: 論文至上主義をゼロから考える薬局

管理者:根本真吾(猫になりたい薬剤師)

タイトル:【立てよ薬剤師プロジェクト】猫がブログを書く理由 〜インプットとアウトプットのハイブリッド〜

https://noirvan13.xsrv.jp

 

ブログ名:お薬のこと

管理者:たけちゃん

タイトル:立てよ薬剤師−プロジェクト ブログを書く理由

http://nitro89314.hatenablog.com/ 

 

ブログ名:アポネットR研究会・最近の話題

管理者:小嶋 慎二@アポネット

タイトル:【立てよ薬剤師プロジェクト】 WEBでの情報発信16年間を振り返る〜簡単に入手できる最新の副作用情報と国内外の薬剤師を巡る動向

http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/180901.html

 

ブログ名:一問一答!薬剤師・薬学生のためのプライマリケア

管理者:こつぶ

タイトル:薬剤師の価値に満足してますか?

https://cotsubu.info/

 

ブログ名:ぼうそう医薬情報室

管理者:小石まり子

タイトル:【立てよ薬剤師プロジェクト】人見知りこそブログを書こう!一石三鳥のブログ活用術♪

https://iyakujoho.com/

 

ブログ名:薬剤師の脳みそ

管理者:ぺんぎん薬剤師

タイトル:【立てよ薬剤師プロジェクト】「薬剤師の脳みそ」を続けている理由

http://pharmacist.hatenablog.com/

 

ブログ名:リンコ’s diary

管理者:リンコ

タイトル:「薬剤師としてブログを書く理念や理由・目的」(#立てよ薬剤師)(#WorldPharmacistsDay)

http://www.rincos-diary.com/

 

ブログ名:ぼくのパパはおくすりやさん

管理者:ふーた

タイトル:ブログを始めた理由を振り返る。そして一歩でも前に

http://wruskniph.xyz

 

ブログ名:「くすりや」の「現場」

管理者:みやQ

タイトル:【立てよ薬剤師】ブログやSNSでの発信、その目的とその先にあるもの

http://miyaq.hatenablog.com/

 

ブログ名:「お薬Q&A〜Fizz Drug Information」

管理者:Fizz

タイトル:【立てよ薬剤師2】薬剤師の情報発信を増やしたい理由〜日薬学術大会の発表報告と今後の課題
https://www.fizz-di.jp/archives/1072597592.html

 

ブログ名:「思想的、疫学的、医療について」

管理者:青島周一

タイトル:【立てよ薬剤師】差異を許容することと、「より生きやすい」というアウトカム

http://syuichiao.hatenadiary.com/

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

このあたりの経緯は日本薬剤師会の学術大会で

ポスター発表になったらしいですね。すごい!

ポスターが公開されてますのでぜひ御覧ください。

【P-22-09】インターネット上に氾濫する不適切な医療情報に対し、薬剤師がブログやSNS の発信でできること(@第51回日本薬剤師学術大会in金沢)

 

さて、第2回めとなった「立てよ薬剤師」という企画、

前回は

「立てよ薬剤師」

ならびに

「医療や健康に関する情報について、我々は何を信じ何を信じないべきか」

というテーマで書かせていただきました。

(前者はおふざけ、後者はちょっと真面目に書いてます)

今回、ここで書いてみようかなというテーマは

「なぜ薬剤師がブログなんてしてるの?」

ということです。

 

そうですね、最近マジメにブログの記事を書いてない者がそんなこと語れるのかというと少々ゴニョるところがありますが、まあ、そもそもは精神科の薬剤師のアピールになれば!というつもりで書き始めたんですよね。

あまりスポットライトが当たらない、ひっそりと仕事している精神科領域の薬剤師。

でも学会とか見学とかで色んな取り組みをされているのを見ると

何気に良い仕事してらっしゃるところが多い!

でも、それをちゃんと文章として残せていない!

これって非常にもったいないなと思ったわけです。

それでいうなれば精神科薬剤師のブランディングという目的で書き始めたわけですが、

実際やってみると当時の自分の思いが強すぎてあまり機能している感じはしなかったですね(^^;)

とはいえ、私個人のブランディングには一定の効果はありまして、

このブログ経由で原稿執筆や講師の依頼が来たこともありましたし、

自分が普段何をやっているか、そして将来どうなっていきたいか、

これをきちんと主張することは大事なことであるといえます。

 

まあ、私の場合はそのような目的ではツイッターのほうが向いていたようで

その後は徐々に発信の場がツイッターに移っていってしまうのですが……

 

しかしまあ、

ツイッターはある程度フォロワーがつくと拡散性には優れるのですが

それまでがなかなか見向きもされないし、

Googleで検索してみてヒットしやすいのは特定のツイートではなくブログの記事であったりするので、

今から何か文章を残してみようと思う人は

とりあえずブログを始めてみるのがいいんじゃないでしょうか。

 

ブログの始め方については無料のものについては

そのサービスを提供してるところに簡単なマニュアルがありますし、

ちょっと気合い入れてやってみようという人には

けいしゅけさんのブログのこちらのエントリーが役に立つと思いますのでリンク貼っときます。

多分将来の拡張や使い回しのしやすさを考えると、

無料ブログの機能使って書くよりはワードプレス使って書いたほうが良さそうです。

 

ワードプレスでブログをカンタンに作る全手順と設定方法を教えます!|けいしゅけのブログ薬局 情報館 

 

まずはそれで、日々の成功体験でいいので書いてみることをおすすめします。

まあ、日記の延長みたいなのでいいんじゃないですかね。

ただし、それをただの日記で終わらせないように、

必ず客観的な視点を入れて書いてみてください。

客観的な視点を入れることで説得力がグッと増します。

 

では、どのようにして客観的な視点を入れるかというと

一番手っ取り早いのはエビデンスを引用することです。

エビデンスというのは無理に論文を引っ張ってこなくてもいいので

誰かのブログ記事を引用するのでも良いですし、

ニュースサイトの記事を引用するのでも良いと思います。

とにかく、第三者の意見を取り入れて、

自分の主張を強化したり、逆に主張に沿わないエビデンスに対して

それはなぜなのかを具体的に反論できると

俄然そのただの日記みたいだった記事が光り始めます。

 

それだけでいいんです。

 

それをしばらく続けて慣れてきたら、

文章の構成を考えてみるといいんじゃないですかね。

まず背景や課題を説明し、

そしてどういった仮説を立てたのか、

自分でどういうことをやってみて、結果はどうだったとか、

それらは客観的には支持されるのか、

あるいはこれまで考えられたことに対して反論できるのか

それらから結論として何が言えるのか、

こういった感じで書いていたら、

それもう立派な論文ですから!

 

ね?なんだか論文まで書けるような気がしてきませんか?

 

とにかく、せっかく良いことやったんならそれを形に残さないともったいないので

みんなの成功体験を共有するという意味だけでも

ブログを書いてみたらいいんじゃないかと思います。

 

 

【おわりに】

今日のエントリーを

EBM初心者の薬剤師として日々臨床医学論文を自分で読んでみて

その結果をブログとしてまとめて熱心にアップされた

故 黄川田修平先生に捧ぐ。

【薬局薬剤師の記録的巻物】が更新されなくなって1年。

一人でも多くの薬剤師が自分の歩みを形に残していくようになることを願う。

その先に、黄川田先生の願った薬剤師の未来がありますように。

 

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


新規抗精神病薬レキサルティについて

また、というか、久しぶりに?新規抗精神病薬が登場しますね。

 

新規抗精神病薬「レキサルティ®錠」
統合失調症の適応で国内製造販売承認を取得

 

一般名は「ブレクスピプラゾール」。

ひとまず統合失調症の適応症が承認されました。

 

その名前から何となく察しが付くように、

アリピプラゾール(商品名:エビリファイ®)のフルモデルチェンジみたいな薬でしょうか。

「ブレイクスルー」みたいな名前はわざとでしょうか?(笑)

ちょっとよく分かりませんが、

統合失調症治療薬はいくつも新薬が出てきているにもかかわらず

全体的な治療効果としてはどれもパッとしないものばかりで

とりあえず「選択肢が増える」という点では意義があるというレベルなので

このブレクスピプラゾールがどういうものになるのか、

やはり精神科の薬剤師としては興味津々なわけです。

 

ひとまず先にリンクした大塚製薬のプレスリリースによれば

薬理作用としてはドパミンD2のみならず

セロトニン5HT1Aのパーシャルアゴニストであり、

セロトニン5HT2Aのアンタゴニストという

Serotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)

と呼ばれる新しい作用機序だそうです。

インタビューフォームを読む限りは他にもノルアドレナリンα1Bとα2Cも同様のレベルでブロックするみたいです。

 

とはいえ、

そのような薬理作用が臨床効果としてどのように現れるかは

受容体親和性を眺めながらゴチャゴチャ理屈を考えるよりも

既に報告されている臨床疫学的研究を読むほうがスッキリしますので

とりあえずそっちのほうを先に読んでみましょう。

 

承認審査資料を読めば国内での臨床試験のことがわかりますが、

重たいPDFの資料を読むよりは

PubMedでRCTやSRを読むほうが早いので今回はそうします。

 

brexpiprazole schizophreniaでシステマティックレビューを検索すると

これが一番新しそうですね。

 

Correll CU, et al.
Efficacy of brexpiprazole in patients with acute schizophrenia: Review of three randomized, double-blind, placebo-controlled studies.

Schizophr Res. 2016Jul;174(1-3):82-92.

PubMed PMID: 27157799.

 

で、フリーで全文読めるのでざっと読んでみましたけど、

まだ統合失調症に関してはRCT3つしか論文になってないのね……(^^;)

それでまあ、プラセボと比較して有効なのは当たり前なので

アリピプラゾールと直接比較してるところを読んでみたところ、

 

"none of the active groups (brexpiprazole or aripiprazole) were significantly different from placebo for change from baseline in PANSS total score at week 6"

 

え?どっちもプラセボと有意差がつかなかったってこと!?

ダメじゃん!(´・ω・`)

 

ま、まあまだフェーズ2試験ということで探索的な意味合いが強いので

十分なサンプルサイズがなかったのかもしれません。

別のブレクスvsアリピの論文を探してみましょう。

 

RCTとして報告されてました。

 

Citrome L, et al.

The effect of brexpiprazole (OPC-34712) and aripiprazole in adult patients with acute schizophrenia: results from a randomized, exploratory study.

Int Clin Psychopharmacol. 2016 Jul;31(4):192-201.

PubMed PMID: 26963842.

 

初発と入院期間が21日以上は除外した統合失調症患者でのオープンラベルな試験ですね。

それでまあ、両群ともベースラインとの比較でPANSS総スコアを改善しています。

知りたかったのは両群間の差なんですけど、スルーされてますね……

まあ数字的にはブレクスのほうが改善してそうです。

(6週時点でブレクス-22.9点、アリピ-19.4点)

が、さっきのフェーズ2試験にしてもこっちの試験にしても

なんでアリピのtarget doseが15mgなんですか?

御社普段「統合失調症の急性期には初回から24mg以上使って」

とか言ってるくせにこれは少なくね?

だからといってブレクスピプラゾールの有効性がアリピプラゾールに劣っているというわけではないので、まあ優れているともいえませんけど、用量設定が疑問すぎて同等なのかどうかも分からないので、ちょっと有効性についてはモヤモヤしますね。

 

一方で注目に値するのはアカシジアの少なさです。

アリピって個人的には好きでよく処方提案させていただく薬なんですけど、

結構アカシジア出ちゃって主治医と患者さんに「ゴメンナサイ」と思うことあるんですが

上記のCitromeらのRCTではアリピが21.2%に比べてブレクスで9.4%という

アカシジアの発生率はなかなか良さそうな印象です。

 

……ってこれオープンラベルでしたね。

先に紹介したSRのほうで確認してみますと(こちらは二重盲検)

Supplementaryに有害事象のデータがあるのですが、

ブレクスピプラゾールもアリピプラゾールも特に違うようには見えない(^^;)

こちらもアリピのtarget doseは15mgなんですけどね。うーむ。

 

しかしまあ、

その他の副作用はさすがアリピの後継モデルだけあって

他の抗精神病薬と比べると体重増加や脂質異常、過鎮静などは少なそうです。

 

ということで、ざっくりとしたエビデンスレビューにしたかったのに

話が長くなりそうなのでそろそろまとめますが、

ブレクスピプラゾールは作用機序の点やこれまでに報告されたRCTの結果から推察するに、アリピプラゾールと同様な感覚で使える抗精神病薬なのではないかなと思います。

もう少しデータが増えないと判断できませんが、

アカシジアは少ない可能性があります。

有効性については、これまたよく考えると、海外でのRCTがどれも3〜4mg使ってるのに対して国内承認用量は1mgから開始して2mgまでとなってるんですよね。

それこそここで紹介した論文ではブレクス3mgに対してアリピ15mgを比較してるので、2mgでホントに効くんかいな?という気もします。

 

まあ、その辺のいきさつはきっと承認審査資料を読み込むマニアみたいな人がいますからそういう人の解説を待つことにして(笑)今回はとりあえず短時間でのエビデンスレビューによってブレクスピプラゾールの有効性と安全性について大雑把に考察してみました。

もっと面白い情報がありましたら、一緒にシェアしていきましょう。

 

JUGEMテーマ:精神科


医療や健康に関する情報について、我々は何を信じ何を信じないべきか

前回の記事の続編です。

薬剤師が同時多発的にブログをアップして

「ネット検索の結果をもうちょいマトモにするために頑張ろうぜ」

という宣言をしたところですが、

なんか私だけ

 

「ジーク・ジオン!」

 

とか不可思議な記事をアップしてて非常に恥ずかしい思いをしたので

少しだけマトモな思考を巡らせて

自分なりの意見を一つ書いてみようと思います。

 

まず、情報の真偽を見定める方法というのは色々あると思います。

それを自分なりに理解することが大事というか

もはや必要なレベルなんですよ。

 

小学校で日本語の読み書きは習いますよね。

もう義務教育で(せめて中学校では)医療や健康関連のリテラシーは

広く国民に教育していただきたいぐらいです。

 

その時には、何が真偽を見定めるための「軸」というものが必要になると思います。

では、どんなことを軸にしていけばいいのでしょうか。

 

よく挙げられているのは、

「誰がその情報を発信しているか」

なんですよね。

例えば、ちゃんとした薬剤師が発信している情報を信じろ、

どこの馬の骨か分からんやつの言うことなんか信じるな、

とまあ簡単に言えばそんな感じなんですが、

 

今や薬剤師もトンデモ情報を発信してるヤツがいる時代ですからね。

それも馬鹿を騙して小銭を巻き上げるような方法で。

まあ、喧嘩したくないので具体的に指摘しませんけどw

 

結局のところ、

「誰がその情報を言っているのか」を気にするのは

権威主義に他ならないんですよ。

「権威の言うことには従え」

と言ってるみたいで、私はあまり賛同できないなぁ。

 

じゃあ、何を信じればいいのかということなんですけど、

少なくとも、「根拠を示さない情報」というのは信じないほうがいいでしょう。

それも論文とかの学術的な一次情報にたどり着けない情報は

信じる価値はゼロです。

この辺については以前に私自ら人柱となって血の涙を流した

PubMedのTips(Single Citation Matcherの使い方)』

という記事が有りますのでそちらを読んでみて下さい。

もっともらしいことが書いてあってもガセネタってことはあるんですよ。

まあ、国民全員がこういう感じで一次情報(学術論文)に当たることができるようにとは思いませんが、

少なくともそういう引用が何も示されていない医療や健康、

特に「◯◯の効果」とか「■■の害」とかいうことについての情報は

とにかく引用が無いかぎり信じないほうがいいでしょう。

 

公的機関が言ってるからとか、

有名な先生が言ってるからとか、

そういうのは関係ないです。

とにかく引用元が示されていないものは一切信じないというフィルターをオススメします。

 

とはいえ!

ここまでの話も、

引用元が【ない】情報は信用でき【ない】ということは証明できない、

いわゆる【ないことを証明】するための「悪魔の証明」というやつなので

これを信じろというのは要するに私が言ってる話を信じろということで

要するに先に批判した「権威主義」の一つになってしまいますので強く言えないところです。

 

つまり、ここまで私が言ったこともぜひ疑って欲しい。

 

しかし裏を返せば、

引用元が【ある】情報であれば、

それは信用に足る妥当性が【ある】かどうかは吟味できます。

いつでもどこでも誰にでも当てはまる情報というのはあまり無いことを前提にすれば、

あとは、どの程度までの妥当性を許容するかという程度問題だと思います。

その点から考えると、

引用元がある情報でないと

真偽の程を検討もできない、というのは確かだと思います。

 

ということで、

ひとまず医療や健康に関する情報について

ネット上に漂うカスみたいな情報に踊らされたくなかったら

まずはきちんとした引用があるのかどうかを確認していただきたいと思います。

そしてその引用元の情報がきちんとした妥当性があるのかどうかについては

我々NPO法人アヘッドマップがそういった健康情報リテラシーの向上について

広く普及啓発をしていきたいと考えていますので

その活動にご賛同あるいはご参加いただければと思います。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


立てよ薬剤師!

我らが強敵(とも)、るるーしゅ様が言われた。

今や「ググれカス」と言われたところで「ググってもカス」の時代であると。

確かに今やアテンションを集めることが至上となり、

その情報の妥当性のほどは一切顧みられないサイトが増殖した結果、

我々薬剤師がいくら正しい情報を伝えようとしたところで

患者がネットで知りたい情報を検索すれば

正しい情報に行き当たる前にカスのような情報を得てしまうのだ!

 

しかし、これは敗北を意味するのか?

 

否!

 

始まりなのだ! 


そのようなカスみたいな情報をばらまくサイトに比べ、

我ら薬剤師の発信力は30分の1以下である。 

それはこれまで各々がバラバラに情報を発信し、

全体として多くのアテンションを引きつけるという意識に乏しかったからではないか。

それでは仕事の片手間にブログをアップする我々が

本職でページビューを稼ごうと作り上げられたサイトに叶うわけがないのだ。

その結果として、不確かな情報に振り回される国民をTwitterなどで何度見てきたことか。

そのたびに、正しい医療や薬や健康に関する情報を提供したいと願う

我々の心が何度踏みにじられる思いをしたことか。 
薬剤師法第1条の掲げる国民一人一人の健康な生活のための戦いを神が見捨てるはずはない。 
しかし、結局何か健康関連のことをググってみたところで

最初の検索結果のページに表示されるのは根拠の薄弱なクソみたいな情報ばかりである。 
何故だ!?

 

大勢を占める情報がこの世の常識となってしまうのは、歴史の必然である。 
ならば、我らは襟を正し、この戦局を打開しなければならぬ。 
我々は過酷な臨床を仕事の場としながらも共に苦悩し、錬磨して今日の文化を築き上げてきた。 
しかしながらインターネットが情報を得る手段となった時代においては、

それが誤ったものであろうと発信力の強い情報が増長し我々に抗戦する。
このままでは諸君の関わる患者もその情報の無思慮な侵食の前に死んでいくかもしれないのだ! 
その時になって悲しんでも怒っても取り返すことはできない!

我々は今、この怒りを結集し、web上に叩きつけて、初めて真の勝利を得ることができる。 
この勝利こそ、国民全てへの最大の幸福となる。 
薬剤師よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ薬剤師! 
我ら現場の薬剤師こそ医薬品を介せば一般市民の健康に最も近い存在であることを忘れないでほしいのだ。 
薬剤師である我らこそ日本の医療や薬事衛生を救い得るのである!

 

ジーク・ジオン!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

えーっと、

前フリのネタが長くてすいません(^^;)

ネタですからね、全部本気にしないでくださいよ。

でもまあ言いたいことは何となく分かっていただければと。

 

ということで、

るるーしゅさんの呼びかけに賛同して、

薬剤師初の情報発信について、もうちょっと気合い入れて頑張ってみることにいたしました。

一人一人の力は弱くても、

何人もの薬剤師が集まってお互いにリンクしたりツイートし合ったりすれば

きっとググったら上位に来るようになるんではないかと。

こんな枯れかけたブログですが、

これから少しだけ頑張ってみようと思います。

改めてよろしくお願い致します。

 

追記:まずは各薬剤師ブロガーさんにリンクをしないとね。

ひとまず、こちらで。

落ち着いたらちゃんとリンクのところにも移します(^^;)

るるーしゅさんの『黒の薬剤師会』

青島周一さんの『思想的、疫学的、医療について』

熊谷信さんの『薬局のオモテとウラ』

kurieditさんの『ドラッグストアとジャーナリズム』

けいしゅけさんの『けいしゅけのブログ薬局』

小嶋慎二さんの『アポネットR研究会・最近の話題』

ネーヤさんの『おねぇ系薬剤師の言いたい放題』

Fizz-DIさんの『お薬Q&A 〜Fizz Drug Information〜』

ミニ丸さんの『pharmacist's record』

みやQさんの『「くすりや」の「現場」』

むむさんの『むむろぐセカンド』

やくちちさんの『薬剤師ときどき父』

よっしーさんの『薬剤師よっしーのブログ』

リンコさんの『さあ、薬剤師に目覚めよう!』

改めてちょっと眺めてみると、ホントにうちのブログの立ち枯れ具合が目立つのでもう少しだけ更新してみようと思いましたw

 

JUGEMテーマ:身近な医療と健康


| 1/40PAGES | >>