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【JJCLIP】検査で陰性なのにインフルエンザってどういうこと?

第6回薬剤師のジャーナルクラブ「JJCLIP」(じぇじぇくりっぷ)の
抄読会を配信いたします!

これまで5回の抄読会でRCT4つとメタ解析1つを読んできましたが
それに共通してたのは何か?気付いていましたか?

以前の記事でも書いたことですが、
「臨床での前景疑問」という答えのない疑問に
ある程度の示唆を与えてくれるのが臨床でのエビデンスであり、
疫学や統計学というわけなのですが、
その疑問にもカテゴリーがあります。

大きく分ければ、
「病因」
「治療や予防」
「予後」
「害」
「診断」
といったところです。

では今まで5回の抄読会で読んだ論文は
いったいどの疑問のカテゴリーに入るでしょうか?

主に「治療や予防」ですよね。
「予後」や「害」もありましたね。

それらは薬剤師として
薬物療法というものを評価し
医師をはじめとした多職種に情報提供していく上では
非常にコアとなるカテゴリーだと思います。
この辺りは絶対に押さえておくべき領域です。

ですが今回はあえて
「診断」
というカテゴリーの論文を読んでみようと思います。

「診断は医師のやることでしょ?」
と、思われた方もいるかもしれません。
確かに、病名を付けて治療方針を決めるのは医師の領域です。
ですが、薬剤師も「エビデンスに基づいた診断学」というものを
学んでおく必要があるとワタクシは考えています。
胸に手を当てて、薬剤師としての仕事を振り返ってみましょう。
薬剤師でも、広義での「診断」をしているケースがありますよね?

ピンときた方もそうでない方も、
まずは今回用意した臨床シナリオと論文を紹介しますので
よーく読んでみて下さいね。

////////////////
日時:2014年2月16日(日)
21:00頃から最低60分〜最長90分を予定
(20:45頃よりテスト配信の予定。暇な人は手伝ってね☆)

配信:http://twitcasting.tv/89089314
※ツイッターのアカウントがあれば誰でも視聴できます
※録音を保存しておきますので、聞き逃した方はそちらをどうぞ。


今回の抄読会でも仮想シナリオを元にして進めます。
今回のシナリオと文献は以下の通りです。
(設定と引用元は@syuichiao先生のブログ。ホントに毎度感謝です)

[仮想症例シナリオ]
あなたは保険薬局の薬剤師です。インフルエンザが流行期を迎え、あなたの地域にはインフルエンザ流行警報がでています。朝からインフルエンザと思われる患者さんばかりで、夜の6時を回っても途切れる気配がありません。
そこに一人の患者さんが浮かない顔をして処方箋を持ってこられました。
「今日は、ものすごく混んでて、先生によく確認できなかったんですが、腑に落ちないことが多くてちょっと伺っても良いですか?」
と患者さんが切り出しました。
「まず、先生は“インフルエンザの検査はしなくても、あなたはインフルエンザだと思います。”とおっしゃって、心配なんで、どうしても検査してほしい、って頼んだんです。結果は陰性だったんで、安心したんですが、先生はそれでも“インフルエンザだろう”っておっしゃるんです。“薬いらないと思いますけど、どうします?”って聞かれたんですけど、インフルエンザだったらやっぱり飲んだほうが良いかなって思って、とりあえず、“じゃ、ください”って言って、今日はこの薬が出たんですけど…。インフルエンザの検査はしなくて良いってどういう事ですかね。それと陰性でもインフルエンザです、ってどういう意味でしょうか。よくわからないのですが、私は本当にインフルエンザなのでしょうか?」

この患者さんの主な情報と主訴は以下の通りです。
*30歳女性。喫煙(−)。電車通勤で都内まで勤務。
*今日の10時くらいから症状が出始めた
*症状は、主に発熱(39度)と寒気、関節の違和感
*合併症や併用薬なし。今日の処方はタミフル®とカロナール®
*インフルエンザの検査はしなくても良いってどういうこと?
*結局のところ、私はインフルエンザなのでしょうか?

インフルエンザ迅速診断キット検査の性能について少し調べてみました。PubMedのClinical Queriesに「rapid influenza antigen detection test」とキーワードを入れ、カテゴリーを「Diagnosis」スコープを「Narrow」にして検索すると以下の論文が見つかりました。

[文献]
Tanei M, Yokokawa H, Murai K, Sakamoto R, Amari Y, Boku S, Inui A, Fujibayashi K, Uehara Y, Isonuma H, Kikuchi K, Naito T.
"Factors influencing the diagnostic accuracy of the rapid influenza antigen detection test (RIADT): a cross-sectional study."
BMJ Open. 2014 Jan 2;4(1):e003885.
PMID: 24384898
フルテキストをこちらから入手しましょう→こちらをクリック
////////////////

どうです?
このシナリオ、当たらずとも遠からずな経験をしたことがありませんか?

「先生がインフルエンザと言ったのなら、そうでしょう」
で、納得してもらえますかね?
患者さんから選ばれる薬剤師になれますかね?

あるいは、
「風邪薬が欲しい」と言って患者さんが市販薬を買い求めに来たとします。
話を聞いてたら何だかインフルエンザのような気がします。

ではそれって、何を根拠にインフルエンザと思うんですかね?

勘ですか?

きちんと所見を認めての判断なら、
それは立派な「診断」ですよね。
でもそれってどれぐらい確かですか?

ここまで読んだ方はお分かりになられたと思います。
薬剤師にも診断学のロジックが必要なんです。

角度を変えてみましょう。
薬剤師には副作用を未然に、あるいは重篤にならないうちに
予防するなど対応する役割も求められています。
その時に、何を根拠に副作用だと判断するんですかね?
やっぱりこれも診断に類することです。

薬剤師が「診断」を学ぶことは
別に医師の領域を侵すわけでも越権行為でもありません。
薬物療法についてのより良いプランを他職種と話し合うために、
またはプライマリ・ケアに携わる医療職として、
非常に重要なことなのではないでしょうか。

しかし、
薬剤師がエビデンスに基づいた診断学を学べる場は
非常に非常に限られています。
なのでワタクシとてまだ経験は浅いです。
ですが、今回のチャレンジを通して
みんなと一緒に学んでいきたいと思っています。

ということで、第6回目の配信ですが、
本当に全くの初心者を対象として話を進めていきたいと思います。
まず論文の批判的吟味を行いますが、
内的妥当性についてはあまり深入りしないようにしたいと思っています。
(数知れず読んだRCTならともかく、したくてもできそうもないので(^^;)
薬剤師の先生方も、薬学生さんも、医療や薬に興味のある一般の方も
皆様どうぞ楽しんで聞いてみて下さい。

今回も全く予習をせずとも楽しめるかもしれませんが
診断の批判的吟味用の簡単なワークシート
@syuichiao先生が作って下さいましたので
配信を視聴するにあたっては論文とともにそのワークシートを
印刷してお手元に準備しておいて下さい。
それと、
2×2の表をいくつか書けるような紙と
電卓をお手元に置いといていただけると
理解が深まると思いますのでどうぞご準備下さいね☆

で、これ重要!
「尤度比(ゆうどひ)」という言葉が出ますが
「犬度比」じゃないですからね!


※どなたでも視聴することはできますが、主な対象は臨床の薬剤師または薬学部5年生以上を想定していますので医学薬学分野の専門用語等が解説無しに飛び交うのはご容赦下さい

薬剤師のジャーナルクラブは薬剤師による薬剤師のための情報共有と穏やかな学びを目的としたSNSを利用したコミュニティです。現在は@syuichiao先生と@pharmasahiro先生とワタクシの3名をコアメンバーとしております。



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コメント
いつもお世話になっております。ブログへのリンク、誠にありがとうございます!ワークシートの内容に一部誤りがございましたので訂正いたしました。http://4.bp.blogspot.com/-hEkPq72JBwE/Uv8lPIdv1JI/AAAAAAAAAMk/1jD92uJLX9s/s1600/%E8%A8%BA%E6%96%AD%E4%BF%AE%E6%AD%A3%EF%BC%92.png 感度と特異度がそれぞれSp,Snとなっておりましたが、逆に、特異度の計算式にも誤りがございました。
  • syuichiao
  • 2014/02/16 6:56 PM
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