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【JJCLIP】夏のエビデンス感想文@ph_minimalさん

この記事は、薬剤師のジャーナルクラブJJCLIP2周年記念企画
「夏のエビデンス感想文祭り」において視聴者の方から寄せられた感想文を
本人の許可を得て公開させていただくものです。
本当にありがとうございました。

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HN: ミニ丸@ph_minimal

Inhaled anticholinergic drugs and risk of acute urinary retention
PMID:20880196 BJU Int. 2011 Apr;107(8):1265-72


吸入抗コリン薬(LAMA)による急性尿閉のリスクについて検討

研究デザイン:症例対照研究

P:45歳以上のCOPD患者(症例:急性尿閉の診断をうけた患者 対照:年齢、性別、インデックス日付でマッチング)

E:LAMAの使用あり

C:LAMAの使用なし

O:急性尿閉の発症

[結果]

吸入抗コリン薬による急性尿閉の発症リスクが上昇(OR 1.40; 95% CI 0.99-1.98)。投与初期で特にリスクが高い。ネブライザーの使用もリスクを高める。

前立腺肥大を合併している場合は発症リスク上昇に強く関連(OR4.67; 95% CI 1.56-14.0).


前立腺肥大を合併しているCOPD患者さんにLAMAの使用は許容できるか?という臨床疑問の解決のためにピックアップした文献です。

前立腺肥大があると、LAMAの抗コリン作用により尿閉のリスクが高まる可能性があり、添付文書によると、「前立腺肥大等による排尿障害のある患者」は禁忌となっています。排尿障害がなくコントロールされていれば投与可能とも解釈できますが、「尿閉」ではなく「前立腺肥大」という記載がある以上、LAMAの投与を躊躇するDrが多いと思います。

この文献によるとLAMAの使用による急性尿閉のリスクは、前立腺肥大を合併していると高くなっているのですが、抗コリン作用を有する内服薬の三環系抗うつ薬や、前立腺肥大の患者さんに投与されることの多い過活動膀胱OAB治療薬ではLAMAよりもリスクが高くなっています。OAB治療薬の添付文書を見てみると、「尿閉を有する患者」に禁忌という記載となっており、前立腺肥大の患者さんにおける頻尿の治療として、尿閉に注意しながらではありますが広く使用されています。

症例対照研究なので、交絡因子の影響もあるかもしれず、リスクの程度ははっきりとは言えませんが、全身投与のOAB治療薬より、局所投与のLAMAのほうが抗コリン作用の影響は少ないと考えられます。前立腺肥大の治療により、排尿コントロールができているなら、COPDの重症度に応じて、LAMAも適応となるのではないかと思いますが、前立腺肥大とCOPDの重症度の見極めについてはこの文献からは答えが得られませんでした。

この文献を踏まえた私の結論としては、前立腺肥大症合併のCOPDの第一選択としてLABAを使用。コントロールできずQOLが低下している場合は、前立腺肥大の治療により排尿コントロールできていることを確認した上で、LAMAの投与。とくに投与初期に尿閉リスクが高いため、投与初期はこまめに排尿状態のチェック。LAMAの選択としては、ネブライザー使用がリスクが高いため、ネブライザーに近いソフトミスト製剤は避けて、ドライバウダー製剤を推奨。

ということで、現時点で収集できる文献だけでは細かい評価ができず、結局のところケースバイケースの対応となるのではないでしょうか。心房細動における抗凝固薬の適応については、脳卒中発症リスクについてのCHADS2スコア、抗凝固薬の出血リスクについてのHAS-BLEDスコアなど、細かくスコアリングされ、リスクとベネフィットの評価の指標となっていますが、あらゆる疾患についてこのような指標があると良いと思います。薬の有効性と安全性を評価するには、添付文書の情報は不十分であり、最新のエビデンスを収集し、日々アップデートしていくことが大事だと思います。

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