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【JJCLIP】夏のエビデンス感想文@yoshichika505さん

この記事は、薬剤師のジャーナルクラブJJCLIP2周年記念企画
「夏のエビデンス感想文祭り」において視聴者の方から寄せられた感想文を
本人の許可を得て公開させていただくものです。
本当にありがとうございました。

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HN: タカハシヨシチカ@yoshichika505

私が、今回取り上げましたのは、転移性非小細胞肺癌患者に対する早期緩和ケアの論文です。

Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer.
N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):733-42. 
PMID:20818875

この論文は、ある緩和ケアの研修会で、「早期からの緩和ケアは、QOL改善だけでなく、生存期間の有意な延長を認めた」ということで紹介されていました。そこで、Pubmed検索して、全文を読んでみたところ、印象がかなり異なり、また抄録と本文の内容が、一致してないようで、かなり混乱してしまいました。内容に誤りがあるかと思いますが、自分なりにまとめてみました。

<論文のPECO>
P:新規に転移を伴う非小細胞性肺癌と診断された患者
E:標準的ケアと早期の緩和ケアを実施
C:標準的ケア単独を実施
O:12週間後のQOLの変化

抄録では、QOLと精神症状は、ベースラインと12週間後のFACT-Lと抑うつ測定尺度HADSで測定し、その変化と記載されている。しかし、本文中では、Primary Outcomeは、「ベースラインから12週間後のTOI(Trial Outcome Index)スコアの変化」と記載されている。

※QOLスコア(いずれも、高いほうがQOLが良いことを示す)
・FACT-L(Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung);0〜136で評価
・LCS(Lung-cancer subscale of the FACT-L);0〜28で評価
・TOI(Trial Outcome Index);FACT-L質問票の内、身体症状、活動状況及びその他の心配な点のスコアを総合したもの。0〜84で評価

・研究デザイン → ランダム化比較試験
・ランダム化されているか? → されている
・一次アウトカムは明確か? → アブストラクトと本文中の記載が異なる?! 明確ではない
アブストラクト → 12週間後のQOLの変化(FACT-L、HADSで評価)
本文中 → TOIのベースラインから12週間後の変化
Secondry Outcomeの記載なし。生存期間はOutcomeに設定されていない。
・真のアウトカムか? → 終末期のQOL改善は真のアウトカムと言ってよい
・盲検化されているか? → 非盲検
・ITT解析されているか? → intention-to-treat の記載あり
しかし、Supplementary Appendixには、C群の1名がミスでE群の治療を受けており、E群に割り付けが変わっていることが記載されている(これって、ITTではない?!)151名(E群77名、C群74名)中、12週後には27名が死亡。解析は治療を完結したE群60名、C群47名 計107名(70%)で解析されている。
・ベースラインは同等か? → FACT-L、LCS、TOI いずれも、E群の方が有意差はないものの、スコアが高い

結果:TOI(Trail Outcome Index)のベースラインから12週間後の変化(Mean±SD)E群 2.3±11.2 vs C群 −2.3±11.4 Difference between group, 4.6(95%CI 0.2 to 8.9 ; P=0.04 )(Fig1より)

しかし、アブストラクトでは、ベースラインから12週後のTOIスコアの変化ではなく、12週後の平均FACT-L Scoreで比較されている。 E群 98.0 vs C群 91.5 (P=0.03)(この辺りが、非常にわかりにくかったです)

また、生存期間の中央値が、E群11.6ヶ月、C群8.9ヶ月と、E群で生存期間の延長が見られたとの記載がありますが、本文中に生存期間をPrimary またはSecondry Outcomeに設定したという記載は見つかりませんでした。
どうも、この「早期緩和ケアによる生存期間の延長効果」という部分が強調されているように思えます。あくまで可能性であって、仮説にすぎないというところでしょうか。(かといって、早期の緩和ケアを否定はしていません。むしろ、必要だと思っています。)

この論文を読んで、やはり原著論文を読むことの大切さ、そして、抄録だけでなく、本文を読むことが非常に重要なことだと感じました。

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