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【書評】科学的認知症診療 5 Lessons

久しぶりにブログ記事にして紹介したい書籍を読んだので書評を書いてみます。

 

出版社:シーニュ

タイトル:『科学的認知症診療 5 Lessons』

著者:小田陽彦

 

まず、著者の小田陽彦先生とは、以前に何度かEBMワークショップでご一緒して懇親会で飲みながら語り合ったことがあることを申し添えておきます。

金銭的なCOIはありませんが、「仲良しバイアス」が入り込む余地は否定できませんw

 

それにしても、その時に小田先生とした話の中には

きちんとしたエビデンスに基づかないで「指導医から教わったまま何となく」な精神科医の診療や、メーカーの情報を鵜呑みにしてそれで分かったつもりになって向精神薬を気軽に処方する一般科の医師について嘆いておられたのが印象的でした。

その後も「討論 厚生労働科学特別研究事業による「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の問題 : BPSDガイドラインの批判的検討」(精神神経学雑誌 118(6), 384-390, 2016)(残念ながらフリーでは抄録も読めませんが)といった論文を出して、特に認知症分野でエビデンスに基づかない治療薬の選択の仕方や、粉飾されたエビデンスや、エビデンスを拡大解釈した推奨文の根拠などを鋭く批判されていたので、

 

実のところ、普段どのように診療しておられるのだろうか?

 

というのはすごく気になっていたところでした。

だってなんだかんだ言って精神科ってエビデンスが示す通りにならないほうが普通というか、

そもそも「疾患」と「病態」が確たる線で繋がっているわけでもなく

表出している症状で分類している「症候群」的な診断基準なんだから

そもそもエビデンスに組み入れられる患者も極論すれば十人十色なわけです。

そんなんでどうやってエビデンスを適用するんですか?

私は昔EBMを勉強し始めた頃はすごく悩みましたよ。

 

で、そういう悩んでいた頃にこの本が登場していれば良かった……

そんな書籍がこの『科学的認知症診療 5 Lessons』ですが、

まずいきなり

 

「認知症という疾患は存在しない」

 

とまあ、まるで私が

「広島に広島焼きなんて食べ物は存在しません」( ー`дー´)キリッ

(お好み焼きならあります)

と言い切るかのごとく、

何となく世間にある「認知症という疾患」のイメージをぶった斬るところから始まります。

 

そして

1.認知症診断の原理原則

2.画像診断の意義と限界

3.抗認知症薬

4.精神症状への対応

5.医療者ができること

という5つのレッスンで構成されており、

まえがきの部分であえて「最新の臨床研究や系統的レビュー、すなわち科学的根拠を紹介することに徹しました」としているように、一切事例を紹介せずにガチガチにエビデンスでロジックを固めているところが

自説に都合良く何とでも受け取れる情報を排していて潔い感じがしています。

 

この書籍は一般臨床医向けに書かれていますが、

認知症の方に関わることがある薬剤師であれば役に立つ情報が多くあります。

 

まず認知症の診断は除外診断が基本になっていて、

当然薬剤性の認知機能障害も除外できるか鑑別しなければなりません。

薬剤師は診断をするわけではありませんが、

目の前の患者さんの「困った症状」に対して薬剤性を疑えるかどうか?

これは医師に対する情報提供としてやらなければならないことです。

認知症あるいはその周辺症状に似た状態を呈する薬剤についても

エビデンスとともにところどころで解説されていますので

ぜひ頭の片隅に置いておいて、いざという時に

ピンとくるようにしておきたいところです。

 

他にもBPSDに対する薬の使い方もいいですね。

確かに抗精神病薬は大規模なメタ解析でBPSDに効果があることが示されていますが、

一方で死亡リスクを増やすこともまたこれまでの数々のエビデンスから明らかです。

ではどういったケースでそれが適応になるのかというと

「自傷他害のおそれ」という実に明確な線引きを示しています。

つまり、有効というエビデンスに重きを置いて死亡リスクに目をつむるのではなく、

死亡リスク増加というエビデンスに重きを置いて一切使わないのでもなく、

患者さんや介護者の話をよく聞いてその「自傷他害のおそれ」がどれぐらいか、

そこで判断しましょうということです。

こういった考え方を知っておくと、

薬剤師からの処方提案にも(抗精神病薬の開始でも中止でも)活かせると思います。

 

いや、すごいです、小田先生。

きっと普段の診療でもこんな感じで

エビデンスベースドでありながら、しっかり患者さんや家族に寄り添った

まさにEBMの実践をされている精神科医の先生なんだなというのが伝わってきました。

 

それにしても、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンに関する

コクランのシステマティックレビューを根拠に示して

「コリンエステラーゼ阻害薬間の薬理作用の差は無視して結構です」

てところが個人的には一番ツボでしたねwww

ブチリルコリンエステラーゼ阻害やAPL作用がナンボのもんじゃい!

とか言うと立つ瀬のない薬剤師がいるかもしれませんが、

そういう薬剤師はぜひこれを機に、薬理が臨床効果の差異を決めているのでなく、臨床効果の差異を説明するのに薬理が必要なのだということに気付いていただければと思います。

そういう薬理学的な差異は臨床効果が一緒なら「トリビア」だと思っときましょう。

 

さらにもう一つ本書の興味深いところは、

抗認知症薬の承認の背景をPMDAの審査資料を丁寧に読み解いているところですね。

製薬企業がいかに苦心惨憺して承認にこぎつけたのかよく分かりますし、

同時にそれは、我々は簡単に騙されるということを示しています。

別に製薬企業に悪意があるというわけではなく、

効果があるように粉飾したエビデンスはちょっとみただけじゃ見抜けないということです。

こういったところ、

普段の臨床業務中はとてもじゃないですが読み込めませんが、

それでも批判的吟味の目は持っておくと自分で気付けるかもしれません。

そういった批判的吟味の目を磨くためには

各地で開催されているEBMワークショップに参加しましょう。

 

いきなりEBMワークショップは参加しにくいですか?

そしたら、薬剤師のジャーナルクラブ「JJCLIP」がありますよ!

次回は11/11(日)の21時からです。

しかもテーマはまさに「薬のせいで認知症になるって本当なのでしょうか?」です!

その時間に私のTwitterのライムラインに注目していただくか

こちらにアクセスしてもらえれば誰でも視聴できますので

お気軽にご参加いただければと思います。

 

ということで、宣伝までさせていただきました!

 

 

JUGEMテーマ:精神科


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