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【書評】プライマリ・ケア医も精神科医も精神症状に使える!漢方処方レシピ集

漢方薬はかなりあちこちで広く使われているものですが、

その多くが実は間違った(というか、適当な?)使い方になっている薬のような気がしています。

例えば、添付文書に書かれた「効能/効果」を見ての病名に対する処方は

西洋医学的なロジックでの処方であり、漢方医学のロジックとは異なるというのはお分かりでしょう。

漢方医学は「証」というロジックで治療を決めていくのであり、

病名を診断して治療を決めていくのが西洋医学的なアプローチであるなら

証を診立てて用いる生薬の組み合わせを決めていくのが漢方薬の正しい使い方だというのは

どこかで聞きかじった人は医師も薬剤師もそれなりにたくさんいるとは思います。

 

それなのに、

そのような「証の診立て」がきちんと行われているとは思えない漢方薬の使い方がこれだけはびこっているのは、

漢方薬は効果もマイルドなら副作用もマイルドだと思われているからではないでしょうか。

だって、効果がシャープで副作用も激烈なものが出やすいのなら、

漢方薬を処方する医師だって、

それを調剤する薬剤師だって、

もっと真剣に漢方薬の使い方を勉強すると思うんですけど、

「効果も副作用もヌルいんだったらまあテキトーでいいか〜」

みたいな雰囲気を感じるのは私だけでしょうか???

 

そういう雰囲気から一歩抜け出すために

漢方薬の使い方を学ぶのに良さそうなのが本書であります。

 

著者の宮内倫也先生は何年か前にも

「精神科臨床はじめの一歩」という書籍を出されておりまして、

こちらは今でもバイブル的な感じで勉強させていただいております。

私は精神科医じゃなくて薬剤師ですけども、

薬物療法の解説はとても勉強になりましたし、

薬剤師という立場でも身に付けておきたい精神科臨床の考え方が

ブログでも読んでるかのようなライトな文章ながら

結構みっちりと色濃くまとめられているのが印象的でした。

こんなのどうやって普段探して読んでるんだ?

というような基礎研究の論文までたくさん引用されてて

原稿書いたりスライド作ったりするのにもすごい助かっちゃいました!(^^;)

 

で、その著書の中でちょくちょく漢方薬での対応が登場してたので

あーこの先生もついにアッチの世界に行っちゃったのかなぁ……

なんて思いそうにもなりましたが、

そのあたりはよく読めばきちんと限界をわきまえて

向精神薬と漢方薬を上手く使い分けることを述べてらっしゃる。

そしてそのような考え方が上手くまとめられているのが、

南山堂の『治療』2018年6月号の特集

「抗うつ薬・抗不安薬の前にこの方剤!―精神症状×漢方」

ではないかなと思います。

実はこれ、

ワタクシも「薬剤師の視点から」ということで一部執筆しているのですが、

その記事に対して宮内先生より直々にコメントも入ったりしまして

漢方薬に対する不勉強を露呈することになってしまったのですが、

(宮内先生が編集されると知ってれば断るかもっと勉強して書きたかったw)

今回紹介する本書

プライマリ・ケア医も精神科医も 精神症状に使える!漢方処方レシピ集

は、その特集記事をしっかりブラッシュアップし、

具体的な症例をたくさん盛り込んで使い方をイメージしやすくしたもの、

という風に捉えたら良いんじゃないかと思われます。

 

本書の特徴として、漢方の入門という位置付けで

「抑うつ」「不安」「不眠」「認知症のBPSD(周辺症状)」

これらにターゲットを絞っているのが画期的だと思います。

 

漢方薬の適応といえば、

風邪だとか消化器症状だとか身体面に目が向きがちですが、

実は微妙にどうにかなりそうで、

でもどうにもならない精神症状……というのは

精神科領域だけでなくプライマリ・ケアの現場でもありがちで、

そういうところにこそ漢方薬がフィットする、

そしてそれは基本を押さえておけば何とかなる、

というのが本書のメッセージでしょうか。

 

そして、漢方で言われる気血水や陰陽や五行の小難しい話を

「エネルギー」と「うるおい」に集約し、

「何がどのくらい不足し何がどのくらい停滞しているか」

「停滞があるならば、そこを攻めても大丈夫か」

「寒や熱は、どちら寄りか」

ここらに着目して思考できるようにしているのが素晴らしいと思うところです。

 

私もかつて漢方の勉強会に通ってこの辺を学んだ(つもりな)のですが、

ここまで割り切ってる本は初めて読んだ気がします。

 

だいたい漢方にこだわる先生って、独自のシステムに深入りしてるんですよね……

それはまあそれで患者さんが良くなるなら良いんですけど、

(そこがなかなかついていけないところかなぁ。。。)

なんて思ってたりするのですが、

その点では本書はそのようなどこかの流派的な知識がほとんどなくても、

いや、むしろそのような知識が無いほうが、

本書の内容から比較的イメージをつかみやすいように思います。

「証」を「レスポンダー」と言い換えているのもいいですね。

 

例えば、加味逍遥散では

「便秘気味で虚勢を張る、のぼせやイライラ、月経関連の症状」

とまとめておられます。

また、

「エネルギー停滞はまさに”おっくう”、そして”イライラ”の一部として表現されます。(中略)、エネルギーのスムーズな流れが阻害されると分子運動が激しくなるため、”熱”が生じやすくなります。また、その阻害から乱流そして風が生まれ、気分も落ち着かなくなります。よって、エネルギーの停滞では、気分が塞がったり、その行き場もなくイライラしたりするのです。」

という解説は、「漢方の考え方とはそんなものだよ」という前提に立てば、

比較的理解しやすいのではないでしょうか。

(まあそこんとこ素直じゃない人は難しいかもしれませんが)

 

ということで、

本書はプライマリ・ケア医や精神科医向けに書かれた本ではありますが、

そのようにイチから漢方薬の基本が学べて

しかも対応に苦慮しやすい精神症状に対する使い方が分かるので

保険薬局の薬剤師にも向いてるんじゃないでしょうか。

漢方薬って市販もされてますからね、置いてる薬局もあるかもしれません。

「もうひと押し」って症状に対して適切な漢方薬を

お試しで勧めてみることができるプライマリ・ケア薬剤師って

カッコいいなと思いませんか?

上手く効けばそのまま買ってもらうか、かかりつけ医に処方を依頼するか、

効かないようなら「証」を見直すか、医療機関受診勧奨するか、

色々考えられると思いますが、

その時にそばにあると心強い本かなと思いました。

 

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